中小企業診断士│二次試験過去問事例2H26|与件構造化メソッド

診断士二次試験過去問事例2H26|与件構造化メソッド
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第1段落

B社は、資本金1,500万円、従業員12名(パート含む)の旅行業者である。創業以来、X市内の商店街に1店舗を有している。X市は中小製造業とベッドタウンが混在する街である。現在は高齢層比率が高まっているベッドタウンの高齢化対応が地域課題の1つとなっている。B社の創業は1990年、創業者は前社長である。前社長はもともと県内の大手旅行会社Y社の社員であった。史学科出身の前社長は歴史に関する豊富な知識と話術で、Y社在籍当時から、添乗員付きパック・ツアーのガイドとしてツアー参加者から高く評価されていた。やがてY社の方針に縛られずにツアーを企画したいと希望するようになり、Y社を退職しB社を創業した。

気づくべきポイント

高齢層比率が高まっていてベッドタウンの高齢化対応が地域課題と書いてあります。地域密着で生きているB社にとっては、この地域課題に対応していかなければ、生き残っていけません。介護付きツアーは導かれるべくして導かれた戦略と言えそうです。

その前の文章には中小製造業とベッドタウンが混在する街と書いてあります。その後、現在は・・・となっていますので、過去の様子であったと理解できます。

ということは、中小製造業をターゲットにした旅行ツアーとファミリー向けをターゲットにした旅行を取り扱っている(た)と考えることは想像に難くないですね。

中小企業診断士の二次試験においては、基本的な国語の構造を理解していれば、誰でも気づける内容だと思います。

中小企業診断士の二次試験に必要な国語力を知りたいという方は、

第2段落

創業当時の主力商品は前社長が得意とする、国内外の添乗員付きパック・ツアー(以下、「一般向けツアー」という。)であった。当時は知名度の低さから顧客獲得に苦戦する時期がしばらく続いたが、商工会議所主催のX市名所巡りでガイドをボランティアで担当したことをきっかけに新規顧客の獲得に成功した。やがて高い評価が口コミで広まりX市内を中心に顧客が増大した。顧客増大と並行して根気強く社員教育にも力を入れ、新入社員をツアーに同行させ、前社長の知識や話術を吸収させた結果、前社長が添乗するツアー以外でも高い評価を獲得し、組織としてリピート率を得ることに成功した。創業5年後に調査会社を通じて実施したX市内消費者に対する市場調査では、添乗員付きパック・ツアーの市場シェアがそれまでシェア1位であったY社を上回るに至り、2000年頃までその地位を維持し続けた。

気づくべきポイント

最重要ポイント1

とても重要な段落となります。何が重要かわかるでしょうか。

それは、経営課題を解決して、企業の成長に成功させているということです。

具体的には、知名度の低さが経営課題となっていましたが、商工会議所主催のX市名所めぐりのガイドボランティアによって新規顧客の獲得につながった点です。

そして、第2フェーズとして、その後は口コミによって顧客が増大しています。

また、組織的にリピート率が高い要因となった前社長のベシャリのノウハウが会社として保有できている点も挙げられます。

この成功体験は、そっくりそのまま使えないにしても、現状の経営課題を解決する時の大きなヒントとなります。今回で行くと、第2問や第4問とつながっています。そのあたりは、解答編にてお伝えします。

上記のような考え方は、中小企業診断士の二次試験において鉄板です。

なぜ、経営課題解決のストーリーに筆者がこだわるかについては、

中小企業診断士とは何者かをご覧ください。

その他

第1問で使えそうな箇所として、第1段落で想定した通り一般向けツアーのことが最終行に書かれています。

第3段落

創業直後の1990年代前半は一般向けツアーで高い評価を得たB社であったが、創業時点で既に一般向けツアーの市場は徐々に縮小されつつあった。その中にあって新商品を模索する必要に迫られていたが、1990年代後半に企業からの要望に応じた添乗員付きの海外研修ツアー(以下、「海外研修ツアー」という。)を主力商品に加えることに成功した。きっかけは、一般向けツアーに参加したX市内の中規模小売業チェーンの人事部長から依頼された米国の小売店視察ツアーであった。前社長は当初「小売ビジネスに役立つようなガイドはできない」と難色を示した。それに対する人事部長の反応は「視察とバス内の意見交換だけでは時間が持たない。海外で見分を広めたいという社員の本音もある。研修の時間以外はバスでいつもの歴史の話をして欲しい」というものであった。このように始まった海外研修ツアーは社員から高い評価を得て、口コミを通じてX市内の中小企業を中心に依頼が増えた。2000年ごろにはX市内における中小企業の海外研修ツアー市場でシェア1位を獲得するに至った。

気づくべきポイント

本段落は、大きく分けて(1)一般向けツアーと(2)海外研修ツアーが書かれています。

一般向けツアーは1990年代前半ですでに市場は縮小傾向だったとなっていることから、2000年時点では市場成長率は低いとわかります。

ベシャリのノウハウは海外研修ツアーにも生かされていて、結果口コミによって顧客獲得につながっていますね。これは、他社と比較してとてつもない強みであることは言うまでもありません。

また、最終行は第1問の解答に使えそうです。

第4段落

このように創業からの10年間は順調に成長を続けてきたB社であったが、2000年を過ぎた頃から状況は徐々に変化し始めた。さらに2008年9月のリーマンショック後には、それまでグローバル化の流れの中で海外研修を拡大させていたX市内中小企業の研修予算が大幅にカットされ、海外研修ツアーの依頼も減少した。両商品共にX市内市場における市場シェアで価格競争力に優るY社を下回り、さらに市場規模の縮小が商品販売の悪化に拍車をかける結果となった。この結果を受け、自身の経営に限界を覚えた前社長は引退し、B社社員であった現社長に経営者の座を譲るに至った。

気づくべきポイント

2008年以降の記述が描かれています。この文章も大きく分けると、(1)市場成長率と(2)市場シェアの内容に分けられますね。

詳細については、筆者が述べなくても大丈夫かと思いますので、割愛します。

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第5段落

現社長は経営の見直しを模索し始めた。その中で、現社長はかつて高いシェア、リピート率を誇った一般向けツアーがなぜ苦戦し始めたのかを調査した。先述の低価格化、簡易化で若年層離れが起きたことは感じ取っていたが、長期に渡りB社の顧客であった高齢層の離反について現社長は理由を理解しかねていた。かつての顧客に対する調査の結果、高齢層顧客は他社の低価格ツアーを利用したり、自分で宿泊先やチケットを予約しているわけではなく、体力的な問題でそもそも旅行に出かけづらくなっているという実態が明らかになった。一方で「行けるものなら好きだったB社さんのツアーにまた参加したい」という声も多数寄せられた。

気づくべきポイント

最重要ポイント2

現在~未来へと続く新たな商品を開発するに至ったニーズが記載されています。

第1段落で想定した通り、高齢者層をターゲットにしたツアーが組まれようとしています。

「体力的な問題でそもそも旅行に出かけづらくなっている」から、介護ツアーを実施していくのは自然な流れです。

中小企業診断士の二次試験問題とは関係ありませんが、この本質的なニーズをしれっと聞き出す能力を持あわせているかが中小企業診断士として仕事をする実務においては、実力があるかないかの一つの分かれ目であると筆者が感じます。

第6段落

これらの調査結果に基づき現社長はB社商品の見直しに着手した。一般向けツアーに関しては将来的な廃止を念頭にツアー回数を削減し始めた。また市場規模が回復する兆しが見えない海外研修ツアーも現状の取引がある企業にとどめ、新規開拓は行わない方針を決定した。一方で、現社長が開発に取り組んだのは高齢者向け介護付きツアー(以下、「介護付きツアー」という。)である。このツアーは、歩行、食事、入浴、トイレなどに関して支援・介護が必要な高齢者を対象にした国内旅行限定の添乗員付きパック・ツアーである。なお、対象となる高齢者だけでなく、家族も参加でき、要支援・要介護の高齢者の場合は、旅行代金の他に支援・介護レベルによって料金が加算され、家族の場合は一般向けツアーとほぼ同額で参加できるという商品である。

気づくべきポイント

ここも大きく分けると、(1)既存商品〔一般向けツアーと海外研修ツアー〕(2)新商品〔介護付きツアー〕となります。

介護付きツアーでは、国内旅行限定となっていますね。これは第3問にも記載されており、第4問の客単価を高める際のヒントとなっています。この辺りの詳細は、設問編でお伝えした通りです。

気になる方は、診断士二次試験過去問事例2H26|設問構造化メソッドをご覧ください。

第7段落

まず現社長と社員1名の2名で、介護に関する資格であるホームヘルパー2級の資格を取得し、商品開発に着手した。はじめは要介護の高齢者を含む1家族の添乗から開始し、次に数組の要介護高齢者と家族によるツアーを開催し、ノウハウを蓄積していった。並行して他の社員にも関連資格の取得を奨励し、また新しい商品に適した社員を採用し、安定的な商品供給体制の整備を進めた。そして、開発着手から1年後の2010年、正式な商品として販売を開始した。当該商品の販売開始時にダイレクトメールを発送したところ、高齢となったかつての顧客から喜びの声と共に多数の参加申込書が送付された。

気づくべきポイント

介護に関するノウハウは蓄積できていることはわかります。ただし、既存商品である一般向けツアーや海外研修で培ったノウハウや成功体験を活かしきれていない可能性が考えられ、だからこそ、第4問の客単価の向上が課題として挙がるのだと筆者は感じます。

また、ダイレクトメールによって、既存(休眠)顧客の掘り起こしに成功しています。さらに介護ツアーの商品を拡大していくために、新規への顧客のアプローチを考えているということもわかります。第2問への前振り的な文章との位置づけにあたります。

第8段落

2014年現在、B社のトータルでの顧客数は2000年当時に比べて大幅に減少しているが、介護付きツアーは高価格商品であることから客単価は大幅に向上し、その結果、売上高や利益は2000年頃の水準に回復しつつある。また、X市内消費者を対象とした直近の市場調査では、需要の動きをうまくとらえ先行して介護付きツアーを開始した企業には及ばないものの、市場シェアが迫りつつある。このように業績は回復傾向にあるとはいえ、B社は介護付きツアーの新規顧客獲得や、導入したものの活用が進んでいない顧客データベースの活用などの課題を抱えている。現社長はこれらの課題に対するアドバイスを求めるため中小企業診断士に相談することとした。

気づくべきポイント

「また」は並列でしたね。どんな観点で分かれているかみると、もうお分かりだと思います。(1)市場成長率と(2)市場シェアですね。

別に気にする必要はないのですが、第1問に関わる他の与件についても、(1)市場成功率と(2)市場シェアの順番で必ず記載されています。これは、たまたまではなく出題者はしっかりとヒントを与えてくれていると筆者は思います。

事業を継続していくうえで当たり前ですが、介護付きツアーを先行して開始した企業には及んでいないとの記述から、まだまだ伸びしろはあることがうかがえますし、市場シェア1位を奪取していきたいとの社長の考えも透けてきます。

与件を読んで経営課題解決のストーリーが描けたか

再三述べていますが、一番重要なことは与件と設問を読んで、経営課題を解決するためのストーリーがしっかりと描けたかということです。

まとめ

2014年までは既存商品で成長をしてきたB社だったが、地域的課題であるベッドタウンの高齢化に対応した戦略の変更が迫られた。

それは、一般向けツアーに昔利用していた顧客に話を聞くと、彼ら達も同様に高齢化していたことがわかり、体力的な問題でいけないことが判明したことにつながっています。だからこそ、介護付きツアーを新商品として開発し、B社成長の今後を託す商品と位置付けている。

そして、既存顧客の呼び戻しには成功したものの、先行した介護付きツアーを開始した企業には及んでいないことから、まだまだ強化していく必要性がある。だからこそ、DBの活用(第3問)および、それを活かした売り上げの拡大として第2問(客数)と第4問(客単価)となります。

その土台として第1問が存在しているという構図です。

これだけ、与件や設問を綺麗に経営課題を解決するストーリーの道筋にしっかりと置かれていることを考えると、中小企業診断士の二次本試験問題はとてもよくできています。

予備校の場合は練習のためいくつも作問しなければならないのに対し、中小企業診断士の二次本試験は1つのみを1年かけて作り上げるため、予備校で本試験問題ほどのクオリティを提供するのは困難だと、筆者個人的には感じます。

私のムダな経験が中小企業診断士の二次試験を独学合格目指す皆様に、少しでもお役にたてていれば幸いです。

aerozol

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