中小企業診断士の一次・二次試験を制す財務攻略テク〔設備投資の経済性計算〕

中小企業診断士の一次・二次試験を制す財務攻略テク〔設備投資の経済性計算〕
こんな方に特におすすめ
  • 財務・会計の内容をイマイチ理解できていないため、公式をとりあえず暗記してしまおうと考えてしまっている方
  • そもそも数字が苦手なため、財務・会計と聞いただけでアレルギー反応を起こしてしまう方
  • 最小の努力で最大の効果を得る、中小企業診断士試験の財務・会計の勉強法を身につけたい方
本記事の要点
  • キャッシュフロー計算と現在価値の基本理解が明暗をわける。基本理解さえできれば、恐れるに足らない論点
  • キャッシュフロー計算で重要なのは、営業活動投資活動によるキャッシュフロー
  • キャッシュフロー計算は、キャッシュインキャッシュアウトの考え方を身に着けることが大事
  • 営業活動によるキャッシュフローは、損益計算書と貸借対照表の2つに観点をわけて考える
  • 投資活動によるキャッシュフローは、減価償却費の算出方法に気を付ける
  • 現在価値は、現価係数の意味さえわかれば、ほぼ理解したも同じ

中小企業診断士の二次試験において、設備投資の経済性計算は一般的に難問として位置づけられます。一見、難しい論点に見えがちですが、要素を分解すると、キャッシュフロー計算書および現在価値(NPV)の基本理解を複合した問題です。

つまり、設備投資の経済性計算を理解できれば、キャッシュフロー計算書と現在価値(NPV)の理解促進につながる、なんともお得な論点であると言えます。

そこで、一次試験受験者を対象に、二次試験を見据えた設備投資の経済性計算における本質的な理解に導くための解き方(テクニック)についてご紹介していきます。

設備投資の経済性計算の役割

まず、なぜ設備投資の経済性計算を行うのかについて考えていきます。

言葉から何となくイメージはできます。

新しい設備を導入する際に、その設備投資によってどのくらいのリターンがあるのかを測るためのツールです。

つまり、設備投資によって得られたリターンと設備投資額の差し引きで、プラスになれば投資する、マイナスなら投資しない、との意思決定をする際の重要な判断材料となります。

そして、設備投の経済性計算は

  • キャッシュフロー計算
  • 現在価値(NPV)

の2つの要素で成り立っています。

まずキャッシュフロー計算についてみていきます。

キャッシュフロー計算

中小企業に限らず大企業においても設備投資には多額な費用がかかります。そのため、利益がせっかく出ているものの、設備投資の支払いにおいてキャッシュ(現金)不足に陥って黒字倒産なんてことが考えられます。

設備投資の経済性計算においては、キャッシュ(現金等)がプラスまたはマイナスになるのか、で判断することが求められることを抑えてください。

重要なことなので、もう一度記載します。

設備投資においては多額な金額の支払いが発生するため、利益ベースではなくキャッシュ(現金等)ベースで投資の判断をします。

キャッシュ(現金等)ベースときたら、頭に浮かぶものがありますよね。

そうです!キャッシュフロー計算書です。

キャッシュフロー計算書に必要なものは、損益計算書と貸借対照表でした。つまり、キャッシュフロー計算書とは損益計算書と貸借対照表を合体させたものとなりますね。

キャッシュフロー計算書の3つの項目
  • 営業活動によるキャッシュフロー
  • 投資活動によるキャッシュフロー
  • 財務活動によるキャッシュフロー

の3つがありました。そのうち、設備投資の経済性計算で利用するのは、営業活動および投資活動によるキャッシュフローです。

理由は、先ほどの通り設備投資に対してどれだけのキャッシュを生むのかを把握するために使うツールであるため、資金調達・支払い関する有無を指し示す財務つ活動によるキャッシュ・フローは対象外とみなすからです。

営業活動によるキャッシュフロー

営業活動によるキャッシュフローの中身を具体的にみていきます。

損益計算書

金額
売上 1,000百万円
売上原価 Δ600百万円
売上総利益 400百万円
販売管理費 Δ150百万円
営業利益 250百万円
法人税 Δ100百万円

これは、損益計算書を単純に記載しただけです。営業外収支以降を省いているのは、簡略化のためです。

キャッシュ・フロー計算書に直していきましょう。

  1. 最終利益である営業利益をキャッシュイン(現金収入)項目として記載
  2. 非資金である減価償却費をキャッシュイン(現金収入)項目として記載
  3. 法人税をキャッシュアウト(現金支出)項目として記載
  4. 合計を算出
項目 金額
キャッシュイン 営業利益 250百万円
減価償却費 50百万円
キャッシュアウト 法人税 Δ100百万円
合計 200百万円
ポイント:減価償却費の考え方

減価償却費は設備などの価値を使用した分下げるための措置として、損益計算書上では費用として算出されます。

しかし、キャッシュフローの観点から考えると、費用として計上してはいるものの、お金の支払いが実際に発生しているわけではないので、減価償却費として計上した費用分はキャッシュインもしくは、キャッシュアウトのマイナスとして考えます。

次に、貸借対照表を見ましょう。

貸借対照表

見るべきポイントはたった1つです。

未払い法人税が発生している場合は注意が必要です。

見るべきポイント
  • 運転資金の項目
  • です。具体的には、

    1. 仕入債務の増減
    2. 売上債権の増減
    3. 仕入れによる支出

となります。

理解の促進を図るため、一次試験の過去問で見てみます。

次の資料に基づく売上および仕入れに関するキャッシュ・フローの記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ

期首残高 期末残高
売上債権 100万円 150万円
仕入債務 60万円 100万円
商品 30万円 50万円
当期売上高 1,000万円
当期仕入高 600万円

〔解答群〕

売上によるキャッシュ・イン・フローが950万円、仕入によるキャッシュ・アウト・フローが560万円である。

売上によるキャッシュ・イン・フローが950万円、仕入によるキャッシュ・アウト・フローが640万円である。

売上によるキャッシュ・イン・フローが1,050万円、仕入によるキャッシュ・アウト・フローが540万円である。

売上によるキャッシュ・イン・フローが1,050万円、仕入によるキャッシュ・アウト・フローが640万円である。

引用:平成19年度中小企業診断士第1次試験財務・会計第13問

先ほどあげた、

解答ステップ
  1. 売上高(キャッシュイン)の記入
  2. 売上債権の増減の算出
  3. 仕入れによる支出の算出
  4. 仕入債務の増減の算出

の各ステップごとに見ていきます。

  1. 売上高の記入
  2. 項目 金額
    キャッシュイン 売上高 1,000万円
  3. 売上債権増減の算出
  4. 売上債権とは、売掛金や受取手形のことです。これらは、現金が入ってくるまでに一定の時間がかかる特性を持っています。

    そのため、売上債権が増加すれば、キャッシュフロー的にはマイナス、逆であればプラスとなります。

    今回で行くと、50万円期首よりも増加していることから、キャッシュフロー的にはΔです。

    項目 金額
    キャッシュイン 売上高 1,000万円
    売上債権の増加 Δ50万円
  5. 仕入れによる支出の算出
  6. 次に、当期の仕入高を算出します。記載の通りですね。

    項目 金額
    キャッシュイン 売上高 1,000万円
    キャッシュアウト 売上債権の増加 Δ50万円
    仕入れによる支出 Δ600万円
  7. 仕入債務増減の算出
  8. こちらは、売上債権の逆の考え方をすればよいですね。ちなみに仕入債権とは、買掛金や支払手形をさします。

    項目 金額
    キャッシュイン 売上高 1,000万円
    キャッシュアウト 売上債権の増加 Δ50万円
    仕入れによる支出 Δ600万円
    キャッシュイン 仕入債務の増加 40万円
    合計 390万円
  9. 解答
  10. 求められている解答としては、売上によるキャッシュフローと仕入れによるキャッシュフローとなっています。

    • 売上によるキャッシュフロー
    • 売上高売上債権の増加

      1,000万円50万円=950万円

    • 仕入れによるキャッシュフロー
    • 仕入高仕入債務の増加

      600万円40万円=950万円

    となるので、答えはアの「売上によるキャッシュ・イン・フローが950万円、仕入によるキャッシュ・アウト・フローが560万円」が正解となります。

    ここまで理解出来れば、営業活動によるキャッシュフローの計算はおおよそ問題ありません。

    投資活動によるキャッシュフロー

    当期の資産と損益に関する次の資料(単位:千円)に基づいて、キャッシュ・フロー計算書の空欄Aに入る数値として最も適切なものを下記の解答群から選べ(単位:千円)

    資産 負債
    期首 期末 減価償却費 2,040
    有形固定資産 48,700 47,000 固定資産売却益 150
    減価償却累計額 12,000 13,200

    キャッシュ・フロー計算書

    営業活動によるキャッシュ・フロー
    営業収入 186,600
    原材料または商品の仕入れによる支出 Δ138,600
    人件費の支出 Δ9,300
    その他の営業支出 Δ7,800
    小計 30,900
    利息及び配当金の受取額 1,500
    利息の支払額 Δ460
    法人税等の支払額 Δ11,800
    営業活動によるキャッシュ・フロー 20,140
    投資活動によるキャッシュ・フロー
    有価証券の売却による収入 1,850
    有形固定資産の売却による収入
    投資活動によるキャッシュ・フロー
    (以下省略)

    〔解答群〕

    840

    960

    1,010

    1,200

    引用:平成22年度中小企業診断士第1次試験財務・会計第6問

    今回の問題では、有形固定資産の売却に関わるキャッシュフローが求められていますが、基本的に考え方は一緒です。

    解答ステップ
    1. 有形固定資産の売却分に関わる減価償却費の算出
    2. ここでは、簿記でよく利用されるボックス図で説明していきます。

      取得の場合であれば、今期分の減価償却費をそのまま代入すればよいですが、売却の場合は、該当分の減価償却費を算出する必要があります。

    3. 有形固定資産の売却資産額(簿価)の算出
    4. 売却の場合は、まず簿価(貸借対照表)による資産額を把握します。

    5. 有形固定資産の売却による収入の算出
    6. そして、損益計算書に記載されている売却益や損を合算した時価の金額を算出します。

    ステップごとに見ていきましょう。

    1. 有形固定資産の売却分に関わる減価償却費の算出
    2. 簿記では、左を期首・資産・費用、右を期末・負債・純資産・収入として考えます。この辺りは、基礎知識ですが改めて思い出し下さい。

      期首の減価償却累計額を左上に、期末の減価償却累計額を右下に記載します。そして、費用計上する減価償却費を左下に記載し、その差額が右に売却に関わる減価償却費として算出ができます。

      減価償却費解説
    3. 有形固定資産の売却資産額(簿価)の算出
    4. 同じように、期首の有形固定資産を左上に、期末の有形固定資産を左下に記入します。次に、今回は取得による有形固定資産はないので0となります。

      また、先ほど算出した売却に関わる減価償却費を転記します。左の期首の有形固定資産から期末の有形固定資産売却に関わる減価償却費を差し引いた額が「売却による収入(簿価)」となります。

      有形固定資産解説
    5. 有形固定資産の売却による収入の算出
    6. 最後に、簿価で算出した収入を時価に変換していきます。

      算出した右の売却の有形固定資産(簿価額)と損益計算書に掲載されている固定資産売却益を合算することで、売却の有形固定資産(時価額)を算出します。

      有形固定資産の収入

    キャッシュフローの仕上げとして、一次試験過去問(良問)をチェック

    ここまで学んだキャッシュフロー計算の手順を踏まえて、平成29年度財務・会計の第15問に出題された問題にチャレンジしていきます。

    当社は、来年度の期首に新設備を購入しようと検討中である。新設備の購入価格は100百万円であり、購入によって毎年(ただし、5年間)の現金支出費用が30百万円節約されると期待される。減価償却方法は、耐用年数5年、残存価格がゼロの定額法を採用する予定でいる。税率を40%とするとき、この投資案の各期の税引後キャッシュフローとして、最も適切なものはどれか。

    12百万円

    18百万円

    26百万円

    34百万円

    引用:平成29年度中小企業診断士第1次試験財務・会計第15問

    まず解答ステップです。

    解答ステップ
    1. 営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュフローの2つにわけて計算する
    2. 営業活動によるキャッシュフロー
      • 損益計算書に関する項目の洗い出し
        1. 営業利益の算出
        2. 非資金である減価償却費をキャッシュイン(現金収入)項目として記載
        3. 法人税をキャッシュアウト(現金支出)項目として記載
      • 貸借対照表に関する項目の洗い出し
        1. 売上債権の増減
        2. 仕入れによる支出
        3. 仕入債務の増減
    1. 投資活動によるキャッシュフロー
      • 有形固定資産の売却による収入or取得による支出の算出

    順番にみていきましょう。

    1. 営業活動によるキャッシュフロー
      1. 損益計算書に関する項目の洗い出し
      2. 損益計算書の作成から行います。こちらは、設問に記載されている文言をそのまま転記していきます。

        項目 金額(百万円)
        現金支出の削減 30
        減価償却費 Δ20
        営業利益 10
        法人税 Δ
      3. 営業利益の記載
      4. 損益計算書が作成できたら、営業活動によるキャッシュフローのPL部分にまず営業利益を記載していきます。

        項目 金額
        キャッシュインフロー 営業利益 10
      5. 非資金である減価償却費をキャッシュイン(現金収入)項目として記載
      6. 次に減価償却費を記載します。

        項目 金額
        キャッシュインフロー 営業利益 10
        減価償却費 20
      7. 法人税をキャッシュアウト(現金支出)項目として記載
      8. 項目 金額
        キャッシュインフロー 営業利益 10
        減価償却費 20
        キャッシュアウトフロー 法人税 Δ
        合計 26
    2. 貸借対照表による項目の洗い出し
    3. 今回は設問に与えられていないので、記載なしとなります。

    4. 投資活動によるキャッシュフロー
    5. 各期の税引後のキッシュフローを求められているだけですので、投資活動によるキャッシュフローも記載なしとなります。

    以上から、答えはウとなります。

    現在価値(NPV)

    設備投資の経済性計算では、予測のキャッシュフローを計算します。そのため、現在価値(NPV)は必ず理解しなければならない論点として立ちはだかります。

    しかし、現在価値(NPV)は論点としてはとても簡単ですので、不安にならずに以降をお読みください。

    現在価値(NPV)の役割

    現在価値とは、未来にもらえるお金を現時点でもらえるとするならば(もしくはその逆)、いくらになるのかを算出するための計算処理を指します。

    銀行から融資を受ける際に利子が発生しますが、未来にもらえる利息を現在時点に変換すると、いくらもらえるのかを考えた上で、利子率の設定を銀行は行っています。

    現在価値(NPV)で抑えるべき1つのポイント

    現在価値(NPV)において、抑えるべきはたった1つです。これさえ、しっかりと理解できていれば、あとの応用知識はさほど難しくありません。基礎的な知識がいかに大事かですね。

    現在価値で理解すべきたった1つのポイント
    • 現価係数

    全て漢字・・・。しかもよく分からない・・、Oh・・・、と筆者は最初勉強した時に感じました。

    中小企業診断士の勉強をしていると、このような場面にちょくちょく出くわします。そんな時に行っていた筆者の行動は次です。

    複合語の場合、言葉が組み合わさっており、内容が理解しにくいといった側面があげられるので、各単語ごとでまず意味を調べると理解が進みます。複合語とは単語を2つなど組み合わせた言葉を呼びます。

    現価の意味

    現在の価値という意味です。そのままですね。

    もう少し説明すると、将来に発生するであろう金額を利子率で割り引いて算出した金額です。

    大事なので、現在価値の説明を二度してしまいました。

    係数の意味

    係数って言葉は難しいですね。筆者には高尚なお言葉すぎて、よく理解できないです(;´д`)トホホ。そこで、ネットで言葉の定義を調べてみました。

    物理学で、種々の物理量間の法則を表す関係式に現れる比例定数。粘性率・膨張率など。

    引用:goo辞書

    強引に筆者の見解でお話すると、ある利率を返還するためのカンニングペーパーだと考えています。

    手計算だと現在価値に割り引く際の計算がとても手間となるため、その手助けをするツールとなります。

    例えば、3年後に120万円もらえる場合(利子率3%)の場合、現在のお金の価値に直すといくらかといった問題あるとします。

    その時に、係数がないと、

    年数 計算 割引係数
    3年後 120万円
    2年後 120÷1.03=約116.5万円 1÷1.03=約0.971
    1年後 116.5万円 ÷ 1.03 = 約113.1万円 1÷1.03÷1.03=約0.943
    現在 113.1万円 ÷ 1.03 = 約109.8万円 1÷1.03÷1.03÷1.03=約0.915

    となります。非常に手計算だとメンドクサイです。また、この計算は1÷1.03の数字を120万円にかけているのと一緒です。

    一番右の数字をはじめからあたえられていたら、とても楽ですよね。

    現価係数はカニングペーパーの意味がご理解いただけたはずです。

    ちなみに現価係数には、複利と年金との2つのタイプがあります。

    • 複利現価係数
    • 複利は単年(その時点ごと)の現価係数を意味し、2年後の約0.971や1年後の約0.943、現在の約0.915がそれにあたります。

      上の表はまさに、複利現価係数で計算を行っています。

      [/aside]
    • 年金現価係数
    • 年金現価係数とは、もらえる金額毎年同じで、それが一定期間続く際に利用する現価係数です。

      例えば、お年寄りが年金を毎月15万円貰えるとします。

      すると、向こう3か月分の年金は現在価値に直すといくらになるでしょうか。利率は先ほどと同様3%でお考えください。

      月数 計算 複利現価係数 年金現価係数
      1月後 15万円÷1.03=約14.56万円 約0.97 約0.97
      2月後 15万円÷1.03÷1.03=約14.14万円 1÷1.03÷1.03=約0.94 約0.97+約0.94=約1.91
      3月後 15万円÷1.03÷1.03÷1.03=約13.73万円 1÷1.03÷1.03÷1.03=約0.92 約0.97+約0.94+約0.92=約2.83
      複利計算での合計 14.56万円+14.14万円+13.73万円=42.43万円 年金計算での合計 15万円×2.83=42.45万円

      端数処理の関係で、若干数字があっていませんが、複利現価係数で出した各月の合計でも、年金現価係数から3か月分の合計を一括で算出しても金額に変わりはありません。

      意味合いが違うだけで、行っている処理自体は一緒だということを理解してください。

    おさらい
    • 現価係数
    • 現在価値に直すための割引率を算出してくれてあるお役立ちカンニングペーパー

    • 複利現価係数
    • 1年後や2年後など一定時点の割引率の値

      ピンポイントで知ることが出来る

    • 年金現価係数
    • 同金額を一定(連続でもらえる)期間の割引率を合計した値

    設備投資の経済性計算の過去問(良問)にチャレンジ

    ようやく、キャッシュフロー計算と現在価値(NPV)の説明が終了しました。最後に、設備投資の経済性計算の一次試験過去問題を解いてみます。

    ご説明した理解があれば、楽勝に解答できるようになっています。

    大まかな解答ステップは、

    ざっくり解答ステップ
    • キャッシュフローの作成
    • 現在価値に変換

    です。早速過去問を見てみましょう。

    C社では、工場拡張投資を計画中である。この投資案の初期投資額は、4,000万円である。計画では、この投資により今後毎年売上高が2,400万円増加し、現金支出費用が1,200万円増加する。この投資物件の耐用年数は5年であり、残存価格はゼロである。減価償却法として定額法を用いており、実効税率は50%であるとする。なお、運転資金の額は変化しないものとする。

    資本コストが10%であるとき、この投資案の正味現在価値として、最も適切なものを下記の解答群から選べ(単位:万円)。なお、現価係数は下表のとおりである。

    複利現価係数(10%、5年) 年金現価係数(10%、5年)
    0.62 3.79

    〔解答群〕

    548

    ―210

    ―280

    ―900

    引用:平成21年度中小企業診断士第1次試験財務・会計第6問

    キャッシュフローの作成

    それでは、キャッシュフローの作成から行っていきます。

    ここでのステップをもう一度おさらいします。

    • 営業活動によるキャッシュフロー
      • 損益計算書に関する項目の洗い出し
        1. 営業利益の算出
        2. 非資金である減価償却費をキャッシュイン(現金収入)項目として記載
        3. 法人税をキャッシュアウト(現金支出)項目として記載
      • 貸借対照表に関する項目の洗い出し
        1. 営業利益の算出
        2. 仕入債務の増減
        3. 売上債権の増減
        4. 仕入れによる支出
    • 投資活動によるキャッシュフローの作成

    このステップにそって解答を作成していきます。

    営業利益の算出

    とにもかくにも営業利益を算出するため、損益計算書がまず必要です。

    設問から以下のようになります。

    項目 金額(万円)
    売上高 2,400
    現金支出費用 Δ1,200
    減価償却費 Δ800
    営業利益 400
    法人税 Δ200

    2非資金である減価償却費をキャッシュイン(現金収入)項目、法人税をキャッシュアウト(現金支出)項目として記載

    項目 金額
    キャッシュイン 営業利益 400
    減価償却費 800
    キャッシュアウト 法人税 Δ200
    合計 1,000

    投資活動キャッシュフローの作成

    今回は、新規に4,000万円投資となります。

    表に表すと以下の通りです。

    現在 1年 2年 3年 4年 5年
    営業活動 1,000 1,000 1,000 1,000 1,000
    投資活動 Δ4,000
    合計 Δ4,000 1,000 1,000 1,000 1,000 1,000

    現在価値に変換

    まず、現在価値に変換しなければならないのは、1~5年目ですね。また、キャッシュフローの金額が全て一緒となっています。

    ということは・・・年金現価係数が利用できると判断できますね。

    計算式

    1,000万円×3.79(年金現価係数)=3,790万円

    3,790万円が現在に直した価値となるので、投資額である4,000万円をひくと、

    計算式

    3,790万円4,000万円=Δ210万円

    となります。

    よって、イが正解とわかります。

    二次試験の過去問にチャレンジ

    設備投資計算の経済性計算を解くうえで一番理解すべき重要なポイントは、キャッシュフロー計算です。二次試験のなかで、キャッシュフロー計算の良問である平成27年度の二次試験財務・会計を解説しています。

    二次試験と言えども、本記事の内容さえ理解していれば、何も恐れる必要がないことがお分かりいただけるはずです。

    中小企業診断士│過去問〔二次試験攻略に必要なCF計算〕

    2017.12.24

    まとめ

    設備投資の経済性計算は、2つの論点が集合したものであるため、一見が難しい問題ととらえがちです。しかし、キャッシュフロー計算と現在価値の基本をしっかりと理解することができれば、何も恐れることはありません。むしろ、得意論点に成長させやすい項目であると筆者は考えています。

    ぜひ、トレーニングを積んで財務・会計の得意論点に引き上げてみてください。

    本記事の要点
    • キャッシュフロー計算と現在価値の基本理解が明暗をわける。基本理解さえできれば、恐れるに足らない論点
    • キャッシュフロー計算で重要なのは、営業活動投資活動によるキャッシュフロー
    • キャッシュフロー計算は、キャッシュインキャッシュアウトの考え方を身に着けることが大事
    • 営業活動によるキャッシュフローは、損益計算書と貸借対照表の2つに観点をわけて考える
    • 投資活動によるキャッシュフローは、減価償却費の算出方法に気を付ける
    • 現在価値は、現価係数の意味さえわかれば、ほぼ理解したも同じ
aerozol

同じような境遇の方により多くお伝えするためシェアいただけると嬉しいです!

5 件のコメント

  • 工夫された記事をありがとうございます。また見やすいWebデザインも、読み手に優しいですね。
    偶然ですが、明後日3/9に私のサイトでは「CF計算書⇔NPVは別論点として捉えないと厳しい」趣旨の記事を予定しており、読み手への配慮上、当記事へのリンクを紹介してもよろしいでしょうか。
    立場・見解の異なる点はありますが、「Ⅳ」対策の発展に向け、よろしくお願いいたします。

    • fuxin24さま

      コメントありがとうございます。

      私のようなつたないブログをご紹介いただけるなんて、大変光栄です。煮るなり焼くなりしていただいて構いません(笑)。

      私自身も、fuxin24さんが一発合格道場で執筆されていた時には大変お世話になりました。

      今後ともよろしくお願いいたします!

      • aerozol様、ご許可ありがとうございます。
        私は簿記の理論から入っており立場は異なりますが、当記事は「キャッシュフロー」で起きがちな悩み、解決を大変丁寧にまとめていただいています。
        「Ⅳ」は簿記の試験ではないので、私の3/9記事と見比べ、良い所取りしていただく方が増えると良いですね。

        • fuxin24さま

          簿記の説明から入ろうと思ったのですが、初学者の場合はどうしてもつまずきがちなキャッシュフロー計算書は簿記の知識がなくても、概念の理解さえできれば問題を解けることを知っていただきたくて、記事を作成しました。

          fuxin24さまの記事と当該記事とで相乗効果が生まれ、受験者のレベルが高まることを期待します。

          簿記の理論からの記事、楽しみにしております。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。