中小企業診断士│過去問(与件)の解説〔H26年組織・人事〕

中小企業診断士│過去問(与件)の解説〔H26年組織・人事〕




中小企業診断士2次試験の過去問H26年組織・人事の設問について、先回ご紹介しました。

内容を忘れてしまった、もう一度見直したいという方は、下記をご覧ください。

中小企業診断士│過去問(設問)の解説〔H26年組織・人事〕

2018.01.24

それでは、さっそく設問でマッピングした仮説内容の検証作業を行っていきます。時間軸で与件が整理できないかといった視点で、与件を見てみましょう。

注意

分量が多いため、最後まで読み切ろうとすると、かなりの労力が必要となります。

それでも読むわよ!というチャレンジャーの方にはおすすめの記事だと胸をはって言えます。

読み終えた後に、中小企業診断士二次試験における与件の読み方についての真髄が見えているはずです。

過去問の解説〔時間軸で段落を整理する〕

時間軸とは、平成26年度組織・人事の過去問の場合は、過去~現在と現在~未来の2つに分けられました。

実際にわけてみましょう・・・・・。

といっても、与件がわからないって方もいらっしゃいますよね。

読む量が大変かもしれませんが、過去問である平成26年度組織・人事の与件全文を載せますので、まずはご自身で整理してみてください。

  • 第1段落
  • A 社は、資本金2,000万円、売上高約3億5千万円、従業員数40名、正規社員25名、非正規社員15名<の精密ガラス加工メーカーである。1970年代半ばの創業から今日に至るまで、A社社長が代表取締役として陣頭指揮をとっている。現在、A社の取り扱っている主力製品は、試薬検査などに使用する理化学分析用試験管、医療機関などで使用されているレーザー装置、光ファイバーなどに用いるガラス管などである。売上のおよそ半分をOEM生産の理化学分析用試験管事業が占め、あとの半分をレーザー装置事業とガラス管事業でそれぞれ同程度を売り上げている。

  • 第2段落
  • 現在、A 社の組織は、生産、研究開発を中心にした機能別組織である。営業担当者は 1 名で、取引先との窓口業務にあたっている。研究開発部門には、研究室と開発室に計 6 名の社員が所属しており、工学博士号をもつ社員もいる。研究開発部門は、新製品開発や新技術開発のほか、製造装置の開発、レーザー装置の開発・販売を担当している。生産部門は、製造第 1 課、第 2 課、品質管理課の 3 つの課で構成されている。第 1 課は主に試験管製造を、第 2 課がガラス管など試験管以外の精密ガラス加工製品の製造を担当し、近年昇進した中途採用者がそれぞれの課の課長を務めている。そして、人事・経理などを総務部が担当している。

  • 第3段落
  • A 社が開発・製造している製品に関連する精密ガラス加工技術とは、われわれが通常イメージするようなグラスや置物、工芸品を製造する職人的な工芸技術ではなく、絶縁性、透過性、外圧の統制などガラスの持つ特性を最大限活用する高度な加工技術である。かつてテレビに使われていたブラウン管や真空管、放電管なども、精密ガラス加工技術をベースにした関連製品である。

  • 第4段落
  • 真空成形加工、特殊ランプ加工、ガス加工、延伸加工などの精密ガラス加工技術を活用した A 社が取り扱う製品の開発・製造には、ガラス加工技術の知識や熟練技能だけでなく、物理学や化学に関する専門的な知識も不可欠である。A 社社長が精密ガラス加工に必要な基礎技術や知識を習得し会社を立ち上げることができたのは、高校卒業後に 10 年ほど中堅ガラス加工メーカーに勤務し、そこで大手電機メーカーの研究所や大学の研究機関との共同開発のプロジェクトに深くかかわってきたからである。その時に培った人間関係や研究開発に関する技術や経験が、創業から今日に至るまで、A 社の経営基盤を成している。

  • 第5段落
  • 精密ガラス加工技術を必要とする製品分野は、技術革新のスピードが速く、製品ライフサイクルが短い。そのため、サプライヤーは、新しい技術や新しい製品を取引先に提案することができなければ取引を継続させていくことは難しい。

  • 第6段落
  • 小さな工場を借り、サラリーマン時代の人間関係を通じて、大学などの研究機関から頼まれる単発的な仕事をひとりだけでこなす体制でスタートした A 社も、取引先の要望を超えるアイデアを提案することによって存続と成長を実現してきたのである。その成長スピードは決して速いとはいえないが、精密ガラス加工技術の関連技術を広げながら、今日の研究開発型企業へと発展を遂げてきた。

  • 第7段落
  • 創業から 10 年余り、依頼に応じて開発・製造した製品の多くは、技術革新や代替品の登場によって2〜3年で注文がなくなり、なかなか主力製品に育たなかった。

  • 第8段落
  • A 社にとって成長に向けた最初のターニング・ポイントは、レーザー用放電管の開発であった。大学や大手企業の研究機関から依頼を受けて開発・製造に取り組んできたそれまでの製品とは異なって、A 社社長のアイデアではじめて自社開発に着手したレーザー用放電管事業はひとつの柱となった。その後 10 年の時を経て、レーザー用放電管事業はレーザー装置そのものの製品化にもつながり、売上は大きく伸張することになる。

  • 第9段落
  • もうひとつのターニング・ポイントは、レーザー用放電管開発と前後して、現在の主力製品となる理化学分析用試験管の OEM 生産を化学用分析機器メーカーから依頼されたことであった。もっとも、この事業がA社の利益に大きく貢献するようになったのは、5年ほど前からである。というのも、製造依頼があった当初、分析用試験管の市場規模はまだ小さく、生産量も少なかったし、製造プロセスの多くが手作業であったことに加えて外注した製造設備を使っていたために、良品率が40%以下と著しく低かったためである。その後、試験管の需要増に伴って受注量も増えてA社の売上は少しずつ伸張したが、良品率が低く利益増にはなかなか結びつかなかった。試験管市場の成長を確信していたA社社長は、そうした事態を打破するために製造設備の内製化を決意し、段階的に製造設備の改良・開発に取り組み始めた。着手から5年以上の年月がかかったものの製造設備の内製化を進めたことによって、製造プロセスの自動化を実現するなど量産体制を完成させた結果、良品率は60%程度まで改善した。その後、理化学分析用試験管の品質も向上し、よりコンパクトになったにもかかわらず、良品率60%前後を維持してきた。ここ数年、さらに高精度の分析が可能な製品へと進化を遂げたこともあって高い製造技術が求められるようになっているが、良品率は90%を超えるまでに向上している。

  • 第10段落
  • これらのターニング・ポイントを経る中で、A社社長は、以前にも増して、研究開発力の強化なくして事業の成長も存続も望めないことを痛感するようになった。それまでも、社内で解決できない技術的な問題や、新製品や新規技術に関連する問題が生じた場合には、顧問を務める関連分野の専門家である大学教授や研究機関の研究者からアドバイスを受けてきた。工学博士号をもった社員を5年ほど前から採用し社内に研究室を開設したのも、研究開発力をより強化し、新たな事業分野を開拓するためである。その成果こそいまだ未知数であるが、精密ガラス加工技術を応用した新製品の芽が確実に育ちつつある。さらに、近年、新たに大学院卒の博士号取得見込者を採用し、研究開発力強化に積極的に取り組んでいる。

  • 第11段落
  • とはいえ、A社のような売上も利益も少ない規模の小さな中小企業が研究開発型企業として生き残るためには、必要な研究開発費を捻出することがもうひとつの重要な経営課題である。レーザー用放電管の自主開発に取り組んだ時代のA社の売上高は1億円にも満たず、社員数も10名に過ぎなかった。そのような企業規模で新規事業のための多額の研究開発資金を捻出することは難しかった。A社が現在進めている新規事業の資金は、大部分が公的助成金によって賄われている。研究開発型中小企業にとって、官公庁の助成金の獲得は極めて重要な資金調達の手段なのである。

どうでしたか。分けられましたでしょうか???

答えは、以下のようになります。

過去~現在

  • 第1段落
  • 第2段落
  • 第3段落
  • 第4段落
  • 第5段落
  • 第6段落
  • 第7段落
  • 第8段落
  • 第9段落
  • 第10段落

現在~未来

  • 第1段落
  • 第2段落
  • 第3段落
  • 第4段落
  • 第5段落
  • 第10段落
  • 第11段落
押さえておきたいポイント

なんだよ!第1~5、10段落はどちらも関連しているじゃないかよ。と思った方もいらっしゃるはずです。

「過去~現在」と「現在~未来」であり、現在の部分が重なっていますよね。そのため、段落が両者ともに該当する場合があることに注意が必要です。

過去問の解説〔第1段落〕

A 社は、資本金2,000万円、売上高約3億5千万円、従業員数40名、正規社員25名、非正規社員15名<の精密ガラス加工メーカーである。1970年代半ばの創業から今日に至るまで、A社社長が代表取締役として陣頭指揮をとっている。現在、A社の取り扱っている主力製品は、試薬検査などに使用する理化学分析用試験管、医療機関などで使用されているレーザー装置、光ファイバーなどに用いるガラス管などである。売上のおよそ半分をOEM生産の理化学分析用試験管事業が占め、あとの半分をレーザー装置事業とガラス管事業でそれぞれ同程度を売り上げている。

気づくべきポイント

解説〔その1〕

A社がどんな事業を行っているのかが書かれています。

(1)OEM生産の理化学分析用試験管事業:全体の5割、(2)レーザー装置業:全体の2.5割、(3)ガラス管事業:全体の2.5割、となっています。

解説〔その2〕

創業から今日に至るまで、A社社長が代表取締役として陣頭指揮をとっている。と書かれています。

まだ全て読み終えているわけではないので、何とも言えませんが、なんとなく引っかかる文章な気がしませんか。唐突に、記載されているため、直接的に利用するかどうかは別にしても、必ず絡んできそうだとプンプン匂います。

設問マッピングで挙げ通り、まだ具体的にはわかりませんが、現在~未来の経営課題は「研究開発強化」でしたよね。

そこから、研究開発強化を図るためには、社長が陣頭指揮をとっていた体制から変更が求められそうだなと考察できます。

概略

現在の企業概要でOKです。

過去問の解説〔第2段落〕

現在、A社の組織は、生産、研究開発を中心にした機能別組織である。営業担当者は1名で、取引先との窓口業務にあたっている。研究開発部門には、研究室と開発室に計 6 名の社員が所属しており、工学博士号をもつ社員もいる。研究開発部門は、新製品開発や新技術開発のほか、製造装置の開発、レーザー装置の開発・販売を担当している。生産部門は、製造第 1 課、第 2 課、品質管理課の 3 つの課で構成されている。第 1 課は主に試験管製造を、第 2 課がガラス管など試験管以外の精密ガラス加工製品の製造を担当し、近年昇進した中途採用者がそれぞれの課の課長を務めている。そして、人事・経理などを総務部が担当している。

気づくべきポイント

この段落は、ヒントが沢山つまっていますので、一つずつ見ていきましょう。

解説〔その1〕

研究開発に注力していきたいと考えているのに、研究開発部門が開発以外に販売をしていては、注力できないですよね。

経営課題解決のために、研究開発部門から研究開発に専念できるようにする何らかの提案が必要だと考えられます。

これは、筆者の推測ですが、事業部制であろうが、業務内容の明確化であろうが、先ほど挙げた研究開発に専念できる体制を構築できる提案さえ行えていれば、該当する設問ではそれほど点数に変わりはありません。

事業部制で解答できなかったから、点数がもらえないなどといった会話や議論をみかけますが、全く持っての無意味と言いますか、それこそ枝葉の論点しか事例企業を見れていないなと筆者は感じます。

解説〔その2〕

研究開発部門には、研究室と開発室に計 6 名の社員が所属しており、工学博士号をもつ社員もいる。と書かれている部分に、違和感を覚えませんか。

そうです、「工学博士号を持つ社員もいる」です。

この文章は、本来なくても成立するのにわざわざ付け足しました感がハンパありあせん。

工学博士号を持つ人材は、どこかで活用しろと案じているのだと思われます。

行間が読めなかった方へ、安心してください。

中小企業診断士の二次試験において、このようなわざわざ付けました感がハンパないキーワードは、解答を考えるうえでのヒントとなるのですが、ヒントの出し方には一定の法則(全てとは言い切れませんが・・)があります。

押さえておきたい一定の法則
  • 与件や設問で同じ言葉が何度も使われている
  • その言葉がなくても意味が通る。文末に記載されることが多い。
  • 近年やこの頃など環境の変化が記載されている近辺に多い
  • しかし、~だが、などの逆説の後に多い

解説〔その3〕

重要なポイントは、「第1課は主に試験管製造を、第2課がガラス管など試験管以外の精密ガラス加工製品の製造を担当し、近年昇進した中途採用者がそれぞれの課の課長を務めている」の中に潜んでいます。

どこかおわかりでしょうか。

答えは、「近年昇進した中途採用者がそれぞれの課の課長を務めている」です。

近年との言葉がトリガーとなって、中途採用者が課長になったという環境の変化が記載されています。

良い効果が出ているのか、悪い効果が出ているのかはこの一文だけで判断できませんが、中途採用者の課長昇進によって、なんらかの現象が発生していると考えられるのです。

さらに推測できることとしては、「プロパー社員」と「中途採用者」の一次知識からメリット・デメリットを思い浮かべることができれば、解答を考える際にとてもスムーズにいきます。

概略

現在の組織・人事体制の概要となります。

過去問の解説〔第3段落〕

A 社が開発・製造している製品に関連する精密ガラス加工技術とは、われわれが通常イメージするようなグラスや置物、工芸品を製造する職人的な工芸技術ではなく、絶縁性、透過性、外圧の統制などガラスの持つ特性を最大限活用する高度な加工技術である。かつてテレビに使われていたブラウン管や真空管、放電管なども、精密ガラス加工技術をベースにした関連製品である。

気づくべきポイント

解説

ここで注意すべきは、逆説の後の文章です。つまり、

精密ガラス加工技術とは、ガラスの持つ特性を最大限活用する高度な加工技術である。

高度な加工技術を高めるために、工学博士号の知識などが使えるかもしれないと脳裏をよぎれば完璧です。

概略

現在と過去の製品概要

過去問の解説〔第4段落〕

真空成形加工、特殊ランプ加工、ガス加工、延伸加工などの精密ガラス加工技術を活用した A 社が取り扱う製品の開発・製造には、ガラス加工技術の知識や熟練技能だけでなく、物理学や化学に関する専門的な知識も不可欠である。A 社社長が精密ガラス加工に必要な基礎技術や知識を習得し会社を立ち上げることができたのは、高校卒業後に 10 年ほど中堅ガラス加工メーカーに勤務し、そこで大手電機メーカーの研究所や大学の研究機関との共同開発のプロジェクトに深くかかわってきたからである。その時に培った人間関係や研究開発に関する技術や経験が、創業から今日に至るまで、A 社の経営基盤を成している。

気づくべきポイント

解説

先ほどの段落の続きがでてきましたね。つまり、第3段落と第4段落は製品技術の概要とその詳細という形で段落間につながりがあることがわかります。

そして重要なのはそうです。逆説の後の文章です。いかに逆説後に重要な文章を持ってきているのかがわかりますね。

具体的には、製品の開発・製造には、ガラス加工技術の知識や熟練技能だけでなく物理学や化学に関する専門的な知識も不可欠である。

物理学や化学に関する専門的な知識と言えば、そう工学博士号を持った社員の活用です。

ここを上手に活用するような提案ができれば、製品の開発・製造の強化につながると結論付けられます。

ということは、現在~未来の経営課題の解決につながると言えますね。

概略

この段落は内容が2つまざっています。それは、製品技術の詳細とA社の強みです。

過去問の解説〔第5段落〕

精密ガラス加工技術を必要とする製品分野は、技術革新のスピードが速く、製品ライフサイクルが短い。そのため、サプライヤーは、新しい技術や新しい製品を取引先に提案することができなければ取引を継続させていくことは難しい。

気づくべきポイント

解説

本段落は、全与件文のなかで1、2を争うほど重要です。

その理由がわかりますでしょうか。少し、考えてみてください。

そうです。。経営課題が示されている段落となります。

A社含めた精密ガラス加工を生業とするサプライヤーにとって、新しい技術や新しい製品を取引先に提案しづけることが求められていると分かります。

だからこそ、研究開発により力を入れることで、経営課題を図ろうとしているんだなと感じられますよね。

さらに、過去~現在にかけては提案し続けられたからこそA社は成長してこれたことも読み取れます。

どのように経営課題を解決してきたのかは本段落以外で記載されていることも判明したので、別段落で具体的記述がないかとの視点で見ていきましょう。

概略

過去~現在と現在~未来を通しての経営課題

過去問の解説〔第6段落〕

小さな工場を借り、サラリーマン時代の人間関係を通じて、大学などの研究機関から頼まれる単発的な仕事をひとりだけでこなす体制でスタートした A 社も、取引先の要望を超えるアイデアを提案することによって存続と成長を実現してきたのである。その成長スピードは決して速いとはいえないが、精密ガラス加工技術の関連技術を広げながら、今日の研究開発型企業へと発展を遂げてきた。

気づくべきポイント

解説

第5段落ともろに関連している段落とわかります。

重要な個所は、「取引先の要望を超えるアイデアを提案することによって存続と成長を実現してきたのである」です。

これによって、過去~現在の経営課題だと判明しました。

第5段落が1、2を争うほど重要な段落とお伝えしましたが、そのもう一つが本段落であることは、ご覧になっている皆様なら薄々感じていられたのではないかと察します。

ちなみに、過去~現在しか明らかになっていないので、現在~未来の経営課題が書かれている部分も同様です。

つまり、今回の場合は3つの段落が最重要段落と位置付けられます。

概略

過去~現在の経営課題

第5段落の経営課題を具体化している内容

過去問の解説〔第7段落〕

創業から 10 年余り、依頼に応じて開発・製造した製品の多くは、技術革新や代替品の登場によって2〜3年で注文がなくなり、なかなか主力製品に育たなかった。

気づくべきポイント

解説

第6段落で判明した経営課題が解決できなかった要因として、創業から10年余り、依頼に応じて開発・製造した製品の多くは、と記載されています。

ということは、次の段落には経営課題を解決できた要因が記載されていそうだと予測がつきます。

概略

過去~現在の経営課題(未解決)

過去問の解説〔第8段落〕

A 社にとって成長に向けた最初のターニング・ポイントは、レーザー用放電管の開発であった。大学や大手企業の研究機関から依頼を受けて開発・製造に取り組んできたそれまでの製品とは異なって、A 社社長のアイデアではじめて自社開発に着手したレーザー用放電管事業はひとつの柱となった。その後 10 年の時を経て、レーザー用放電管事業はレーザー装置そのものの製品化にもつながり、売上は大きく伸張することになる。

気づくべきポイント

解説〔その1〕

最初のターニングポイントとの言葉です。

最初とつくからには、2つ、3つなど複数のターニングポイントが想定でき、その上で本段落では1つしか記載がないので、違う段落に別内容のターニングポイントがあると理解できます。

解説〔その2〕

経営課題を解決した具体的内容が記載されていますね。

大学や大手企業の研究機関から依頼を受けて開発・製造に取り組んできたそれまでの製品とは異なって、A 社社長のアイデアではじめて自社開発に着手の部分が、取引先の要望を超える提案を指しています。

いわれた通りの製品しか作れないのと、自社のアイデアをいれるのとを比較すれば、一目瞭然ですよね。

概略

ターニングポイント1〔レーザー用放電管〕

過去問の解説〔第9段落〕

もうひとつのターニング・ポイントは、レーザー用放電管開発と前後して、現在の主力製品となる理化学分析用試験管の OEM 生産を化学用分析機器メーカーから依頼されたことであった。もっとも、この事業がA社の利益に大きく貢献するようになったのは、5年ほど前からである。というのも、製造依頼があった当初、分析用試験管の市場規模はまだ小さく、生産量も少なかったし、製造プロセスの多くが手作業であったことに加えて外注した製造設備を使っていたために、良品率が40%以下と著しく低かったためである。その後、試験管の需要増に伴って受注量も増えてA社の売上は少しずつ伸張したが、良品率が低く利益増にはなかなか結びつかなかった。試験管市場の成長を確信していたA社社長は、そうした事態を打破するために製造設備の内製化を決意し、段階的に製造設備の改良・開発に取り組み始めた。着手から5年以上の年月がかかったものの製造設備の内製化を進めたことによって、製造プロセスの自動化を実現するなど量産体制を完成させた結果、良品率は60%程度まで改善した。その後、理化学分析用試験管の品質も向上し、よりコンパクトになったにもかかわらず、良品率60%前後を維持してきた。ここ数年、さらに高精度の分析が可能な製品へと進化を遂げたこともあって高い製造技術が求められるようになっているが、良品率は90%を超えるまでに向上している。

気づくべきポイント

解説〔その1〕

この段落は複数の事象が発生しているため、切り口で整理して読むとすっきりします。

注意

切り口との言葉を利用すると、環境分析やファイブフォースなどのフレームワークを与件にあてはめればいいんでしょと思われる方がいらっしゃるかもしれません。筆者はその口でした。

フレームワークはもれなく、ダブりなく考えられる便利なツールなのですが、出題者が求めていないのに、自己満的に勝手にフレームワークであてはめていってしまうと用意されていた答えからは遠ざかって行ってしまいます。

もっと詳細に知りたい方は以下をお読みください。

ちなみに、中小企業診断士の試験だけでなく、実務においても非常に有用なテキストをご参考までに紹介しておきます。

筆者自身は、今でもデスクの横にしのばせて愛用している一冊です。

それでは、切り口で整理していきましょう。と言っても、大した切り口ではありませんので、あしからず。

具体的には、良品率の改善率で区切っていきます。それは、なぜか。。。もうお分かりですよね。与件に良品率〇%と書いてあるからにつきます。分け方としては、3つでOKです。

切り口
  • 良品率40%以下(過去)
  • 良品率40~60%(過去)
  • 良品率60~90%越え(現在進行形)

簡単ですよね。ただし、しっかりと意識して整理できているかどうかで、与件をしっかりと把握できるかが変わってきます。

ネタばれになってしまいますが、設問第3問では良品率が60%から90%へと大幅に改善した要因が問われています。

と言うことは、3つめの切り口で書かれている文章以降のみを利用しないと得点にならないということが、切り口で整理できていれば、一目瞭然でわかりますね。

中小企業診断士│過去問(設問)の解説〔H26年組織・人事〕

2018.01.24

まず、一つ目の良品率40%以下の文章を抜き出してみます。

良品率40%以下

もうひとつのターニング・ポイントは、レーザー用放電管開発と前後して、現在の主力製品となる理化学分析用試験管の OEM 生産を化学用分析機器メーカーから依頼されたことであった。もっとも、この事業がA社の利益に大きく貢献するようになったのは、5年ほど前からである。というのも、製造依頼があった当初、分析用試験管の市場規模はまだ小さく、生産量も少なかったし、製造プロセスの多くが手作業であったことに加えて外注した製造設備を使っていたために、良品率が40%以下と著しく低かったためである。

次に、良品率40~60%の文章を抜き出してみます。

良品率40~60%

その後、試験管の需要増に伴って受注量も増えてA社の売上は少しずつ伸張したが、良品率が低く利益増にはなかなか結びつかなかった。試験管市場の成長を確信していたA社社長は、そうした事態を打破するために製造設備の内製化を決意し、段階的に製造設備の改良・開発に取り組み始めた。着手から5年以上の年月がかかったものの製造設備の内製化を進めたことによって、製造プロセスの自動化を実現するなど量産体制を完成させた結果、良品率は60%程度まで改善した。

まず、一つ目の良品率60~90%越えの文章を抜き出してみます。

良品率60~90%越え

その後、理化学分析用試験管の品質も向上し、よりコンパクトになったにもかかわらず、良品率60%前後を維持してきた。ここ数年、さらに高精度の分析が可能な製品へと進化を遂げたこともあって高い製造技術が求められるようになっているが、良品率は90%を超えるまでに向上している。

区切るだけでも、理解度がかなり違ってくることがお分かりいただけるはずです。

気づいた方もいるかもしれませんが、良品率40~60%、良品率60~90%越えの先頭の文字は、「その後」となっています。

これは、偶然同じ言葉が重なってしまったのではなく、出題者はわざと選んでいると思います。特に気づかなくても答えは導けるので、支障はありませんが、出題者ははっきりとしたヒントは出してくれていませんが、こういった細かなヒントは多彩に盛り込んでくれています。

解説〔その2〕

良品率40%以下の要因をまとめると次のようになります。

  • 分析用試験管の市場規模はまだ小さかった
  • 生産量が少なかった
  • 製造プロセスの多くが手作業であった
  • 外注した製造設備を使っていた

ということは、これらを改善していった具体的内容が以降に書かれていることもなんとな~く透けて見えますよね。

解説〔その3〕

先ほどの問題点がキレイに全て解決されています。

  • 分析用試験管市場の需要増
  • 受注量が増(生産量が増と言い換えられます)
  • 製造プロセスの自動化
  • 製造設備の内製化

書いてあることをまとめただけすが、良品率40%以下のまとめと見比べてみると、対になっており、問題点を総ざらいで解決した結果、60%まで良品率が向上したと論理的に導くことは可能です。

解説〔その4〕

近年」という要注意ワードが出ています。その後の文章が重要だとお伝えしました。今回もご多分に漏れず当てはまります。

高精度の分析が可能な製品へと進化を遂げたこともあって高い製造技術が求められるようになっているが、良品率は90%を超えるまでに向上している。

この文章をみて感じなければいけないのは、

  1. 高精度の分析が可能な製品へと進化を遂げたこと
  2. 上位以外にも高い製造技術の要望に応えられていること

です。

国語的に読むと、「進化を遂げたこともあって」の

こともと言うのは、複数あるなかで最も特徴的な要因として使われます。

高精度の分析が可能な製品へと進化以外にも要因があるかもしれないと仮説を立てられたかどうかで、与件が正しく読めているのか判断ポイントとして活用してみてください。

他の年度や別科目でも、同じような使われ方がしていますのでぜひ意識をもって取り組んでみてください。

概略

ターニングポイント2〔OEM生産〕

過去問の解説〔第10段落〕

これらのターニング・ポイントを経る中で、A社社長は、以前にも増して、研究開発力の強化なくして事業の成長も存続も望めないことを痛感するようになった。それまでも、社内で解決できない技術的な問題や、新製品や新規技術に関連する問題が生じた場合には、顧問を務める関連分野の専門家である大学教授や研究機関の研究者からアドバイスを受けてきた。工学博士号をもった社員を5年ほど前から採用し社内に研究室を開設したのも、研究開発力をより強化し、新たな事業分野を開拓するためである。その成果こそいまだ未知数であるが、精密ガラス加工技術を応用した新製品の芽が確実に育ちつつある。さらに、近年、新たに大学院卒の博士号取得見込者を採用し、研究開発力強化に積極的に取り組んでいる。

気づくべきポイント

解説〔その1〕

最も重要なことは、経営課題が記載されていることです。それは、研究開発力の強化なくして事業の成長も存続も望めない、であることはこれだけ繰り返しお伝えしてきたので、サスガニ分かります・・・よね。

解説〔その2〕

前の段落と同じように事象が複数となっているため、まずは与件にそって、時間軸の切り口で整理していきましょう。

  • ~5年前
  • 5年前~現在

となります。

解説〔その3〕

新たに大学新卒の博士号取得見込み者を採用し始めています。さらに、もう少し前にさかのぼると研究室の開設を行ったことも該当しそうです。これらは、新たな事業分野を開拓するためと書かれています。つまり、研究開発力の強化は、新たな事業分野を開拓するために行おうとしていると読み解けます。

概略

経営課題1〔現在~未来〕

過去問の解説〔第11段落〕

とはいえ、A社のような売上も利益も少ない規模の小さな中小企業が研究開発型企業として生き残るためには、必要な研究開発費を捻出することがもうひとつの重要な経営課題である。レーザー用放電管の自主開発に取り組んだ時代のA社の売上高は1億円にも満たず、社員数も10名に過ぎなかった。そのような企業規模で新規事業のための多額の研究開発資金を捻出することは難しかった。A社が現在進めている新規事業の資金は、大部分が公的助成金によって賄われている。研究開発型中小企業にとって、官公庁の助成金の獲得は極めて重要な資金調達の手段なのである。

気づくべきポイント

解説〔その1〕

経営課題がもろに書いてあるので、問題ないかと思います。「研究開発費の捻出」です。

解説〔その2〕

は社員数が10名で、売上も1億円に満たない規模の会社であったので、研究開発費の捻出が少なかったとなっています。現在は、売上3億5千万円、従業員40名(非正規含む)と売上では3.5倍、従業員数では4倍という規模になったのに、なぜ研究開発費の捻出が重要なのでしょう。それは、第10段落との関連から、新たな事業分野を実施しようとしているからです。

そのための資金調達手段として、最後の文の「A社が現在進めている新規事業の資金は、大部分が公的助成金によって賄われている。研究開発型中小企業にとって、官公庁の助成金の獲得は極めて重要な資金調達の手段なのである。」と記載されています。つまり、A社の研究開発費を捻出する生命線は官公庁の助成金の獲得であると言えます。

概略

経営課題2〔現在~未来〕

ストーリーまとめ

※できしだい順次更新していきます。お手数をおかけしますが、今しばらくお待ちください。

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2018.01.29

中小企業診断士の1次試験合格は過去問研究を徹底にすべし

中小企業診断士を独学で突破するためには、過去問を徹底研究することが一番の近道です。

そのためには、過去問の使い方をまず理解することが必要となります。

筆者の失敗談をもとにした過去問の具体的な使い方について言及しています。

中小企業診断士│過去問(一次)の使い方〔これだけ抑えればOK〕

2018.01.18

中小企業診断士の1次試験で不得意科目を何とかしなければとお考えの方へ

徹底研究するなかで、中小企業診断士1次試験の苦手な科目をつぶすために厳選に厳選を重ねた有効なおすすめのテキストをご紹介しています。

得意科目をさらに伸ばすよりも、不得意科目を潰す方が合格可能性をグインと押し上げることにつながります。

中小企業診断士│独学におすすめのテキスト〔科目別〕厳選集

2018.02.05
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中小企業診断士│過去問(与件)の解説〔H26年組織・人事〕

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