中小企業診断士の二次試験においては、一次試験同様に、過去問の勉強以上に勝る問題集はありません。
中小企業診断士の専門予備校に通われている方であれば、事例問題の演習を行っていることでしょう。しかし、予備校の事例問題はあくまで予備校が考える模範解答や手順であって、必ずしも試験運営元である中小企業診断協会が求める解答とイコールではないことを、まず認識しておくべきです。
中小企業診断士の試験予備校の言うことが全て正しいとは限らない
もっと大袈裟に言えば予備校で学んだことが、実は合格から遠のいているかもしれない危険性をはらんでいるかもしれません。
筆者は二次試験を6度も受験経験のなかで、得点開示請求が可能となる前は、全てA判定でないと合格できないと声高らかに言っていた予備校がいるとか、いないとかという話も聞いたことがあります。
小手先の方法論ではなく、本質を見極める力を養うことが重要
なぜ、このような事態が起こってしまうのか。それは、中小企業診断士の二次試験は解答が発表されない「ブラックボックスな試験」であることに大きく起因しており、ブラックボックスであるが故に、各予備校において真逆とまでは言わないものの異なる勉強手順が存在していると筆者は考えています。
しかし、原点に立ち返ってみると、各予備校が提唱する勉強手順やメソッドと呼ばれる方法論などは小手先でしかなく、それよりも中小企業診断士の試験運営元である中小企業診断協会はどのような視点で採点を行っているのかを、自分の中で腹落ちさせる必要があるのです。十分に理解できていないと、道具を使うのではなく、道具に使わされている状態となってしまいます。
これを知るには、先ほどから述べているように、中小企業診断士の二次試験においても、過去問だけが唯一の問題集であることはご理解いただけるはずです。
そこで、今回は中小企業診断士の二次試験の過去問研究を進めるうえで、利用するとよいおすすめテキストとその具体的な使い方について、ご紹介したいと思います。
と言っても、すでにタイトルでご案内してる通りなのですが。そう、中小企業診断士の二次試験の勉強において、絶対に欠かすことのできないあのテキスト(参考書)です。
中小企業診断士の一次試験においては、勉強初期から過去問を教科書がわりに使いこなせるかが、合否に大きく左右します。
中小企業診断士の二次試験におけるおすすめのテキスト
しつこいようですが、試験運営元である中小企業診断協会の過去問の徹底研究以外に中小企業診断士の本質を掴んで合格することはできません。
中小企業診断士の二次試験の解答が公表されない以上、確からしい答えを探すには実際に当日の試験を受けた人たちの復元答案を大量に集めたうえで分析することです。
一般人ではとても実現は難しいですが、中小企業診断士の試験においてはなんと!その年に合格した有志たちが受験者から復元答案(中小企業診断士試験では再現答案と呼ばれています)を募集し、分析したものを書籍として出版してくれます。こんなに有用なテキスト(参考書)は他にはありません。
それこそが、同友館さんが出版している「ふぞろいな合格答案」シリーズです。
[itemlink post_id=”8070″]ふぞろいな合格答案が有用な理由
ふぞろいな合格答案が有用な理由は、合格者そして不合格者の評価付きの答案が掲載されている、ことです。
合格者および不合格者の再現答案を大量に集め、そこから共通キーワード等の抽出により、確からしい答えの把握に努めています。これは、各予備校の模範解答解説集を購入しても得られない生データです。
この生データの情報を収集できるといった点で中小企業診断士の二次試験において最高におすすめなテキスト(参考書)です。
ちなみに、筆者はふぞろさんとのご縁は全くありません。一購読者の口コミとしてとらえてください。
それでは、まずふぞろな合格答案とは何かについて、お伝えします。
おすすめなテキスト〔ふぞろいな合格答案〕に書かれている内容
年によって若干異なるのですが、大枠こんな感じになっています。
- 中小企業診断士の二次試験事例1~4の設問ごとの分析によるキーワード採点
- 中小企業診断士の二次試験事例1~4の設問ごとの合格者、不合格者の再現答案
- 合格体験記と合格者ごとの全事例再現答案
- その他特集記事
おすすめテキスト〔ふぞろいな合格答案〕の一般的な使い方
次に、一般的にふぞろいな合格答案がどのように使われいてるのかについてです。
キーワード採点
なんといってもこれが一番なのではないでしょうか。
中小企業診断士の二次試験では、正解が発表されていないため、解きっぱなしにしがちです。
しかし、ふぞろいな合格答案を使えば、キーワードでの採点が可能となるため、ある程度の指針とすることができます。
あくまでキーワード採点だと仮定した場合となるため、点数については参考までにとどめておいたほうが良いと思います。
単純なキーワードで採点されているわけではなく事例企業の経営課題を把握し、それを解決する内容となっているかについて、出題者と方向性が同じかどうかの方がもっと重要であることを忘れてはいけません。
中小企業診断士の二次試験合格答案のレベル感を知る
複数人(10人程度)の合格した方の再現答案を全事例みることができます。
もちろん、全ての答案がA判定以上であるわけではないので、全部を鵜呑みにするのは行けないかもしれませんが、それでも合格者の再現答案はトータルで平均60点を超えていることだけは間違いありません。
複数人並べてあるので、合格するためのレベル感がどの程度なのか掴みやすいのではないでしょうか。
合格答案といえども思っているほど洗練された答案ではなく、自分でも書けそうだなと思えれば、こちらのもんです。
中小企業診断士の二次試験に80分という時間的制約が設けられている以上、洗練された優秀な答案を書くことは不可能です。ふろぞろいな合格答案を見ることによって、その幻妄からは目が覚めると思います。
A~C評価の再現答案も見れる
ふぞろいな合格答案の良いところは合格者答案だけでなく、不合格者の評価付き再現答案が見られるところです。
合格者答案もとても貴重ですが、過去問を研究する上では、評価付き答案の方が価値が高いと筆者は考えています。
特にC答案は明らかに方向性を外している解答が多いのがほとんどです。なぜC評価になってしまったのか、A答案との違いはどこにあるのか、B答案とA答案の違いは、といった部分を自分なりに分析していくことで、中小企業診断士の二次試験が求めている内容が徐々に自分の中で明らかになっていくはずです。
おすすめテキスト〔ふろぞろいな合格答案〕の筆者独自の使い方
先ほどの内容以外に筆者がふぞろいな合格答案をどのように活用していたのかについて、ひっそりと大公開いたします。
ふぞろいな合格答案で利用されている頻度の高いキーワード
先にお伝えしておくと、ふぞろいな合格答案だけは、過去を遡って書籍を買ったほう良いです。もちろん、その年度の合格レベル感が分かるということもありますが、採点基準にあげられているキーワードのなかで年度を横断してみていくと、ふぞろいな合格答案で利用されている頻度の高いキーワードが存在することに気づきます。
さらに、その利用されている頻度の高いキーワードは分析系の設問で使われていることが多いのか、提案系の設問で使われていることが多いのかといった傾向も見えてきます。
ふぞろいな合格答案の筆者使い方の一例
事例3の生産・技術では、リードタイムが長くなってしまっているという状況の事例企業がよく出題されます。この際に、生産計画が月初に立てられてその後何も行っていないといった場合には、生産計画立案頻度の週次化を提案していることが、ふぞろいな合格答案の年度を通してみてみると、使用されている頻度が高いことに気が付きます。
このことから、生産計画立案頻度の週次化という提案内容は、知識的にストックしておかなければならない必須内容と分かりますよね。
筆者は、このようにしてふろぞろいな合格答案から利用されている頻度の高いキーワードを抽出して、それをまとめたものをキーワード集として毎日寝る前に眺めるようにしていました。
中小企業診断士の二次試験で実際に使える一次知識のストックが可能
中小企業診断士の二次試験用に一次知識をまとめたテキストも発売されていますが、筆者の場合は覚えるのはいいものの、どのようにその覚えた知識を解答に具体的にアウトプットしていけばよいのかが、いまいちよくわかっていませんでした。
使えないのであれば、知っていたとしても知らない知識と同様ですので、それであれば、実際に評価されているキーワードから使える一次知識を学んだほうが早いとの発想が原点です。
中小企業診断士の一次知識を活用しろとよく言われますが、どのように活用すればよいのかわからない方に、とってもおすすめな方法です。
あくまで与件の内容に合わすことが前提で、その上で知識的に引き出しを持つことで解答をスムーズに出しやすくするめの作業となります。
ふぞろいな合格答案の書籍代だけはケチってはダメ
中小企業診断士の二次試験の合格を見据えた際に、頻出キーワードを引き出しとして抑えるためには、過年度を通して分析する必要があります。
そのため、書籍代が少しかかってしまいますが、中小企業診断士の合格を手にするためには絶対に必要な出費だと思って、書籍代をケチらずに購入されることをお勧めします。
ふぞろいな合格答案の最新刊を入手する際の注意点
例年、中小企業診断士の1次試験終了後である8月は1次合格者が2次試験勉強を本格的に開始する時期となるため購入者が殺到し、品薄となります。
中小企業診断士の一次試験をまず目指されている方であっても、二次試験合格が最終目標になるはずですので、早めに購入しておくことをおすすめします。
ふぞろいな合格答案に今後期待する事
受験者目線で考えると、得点開示請求ができるようになったという外部環境の変化が起こったことを機会ととらえて、これまでの評価付きに併せて、点数も把握したうえでの分析を行っていただけると、さらに素晴らしいテキスト(参考書)になるはずです。
出版時期等もあるので難しいのかもしれませんが、ふぞろいさん、実現可能であればぜひ・・・お願いします。
参考:あわせて読みたい
中小企業診断士の2次試験の事例4で高得点を獲得し逃げ切り戦略をとりたい方
中小企業診断士の二次試験において、事例4が高得点だった</span class ~ “line-yellow emp”>おかげで合格となった方が、得点開示請求によって明らかとなりました。
中小企業診断士の二次試験において、事例4の計算力を高めておくことは安定的に合格点である240を確保することにつながります。
計算力を高めるために、時間対効果が高いおすすめのテキストをご紹介しています。
中小企業診断士の1次試験合格には過去問研究を徹底にすべし
中小企業診断士を独学で突破するためには、過去問を徹底研究することが一番の近道です。
そのためには、過去問の使い方をまず理解することが必要となります。
筆者の失敗談をもとにした過去問の具体的な使い方について言及しています。
中小企業診断士の1次試験で不得意科目を何とかしなければとお考えの方へ
徹底研究するなかで、中小企業診断士1次試験の苦手な科目をつぶすために厳選に厳選を重ねた有効なおすすめのテキストをご紹介しています。
得意科目をさらに伸ばすよりも、不得意科目を潰す方が合格可能性をグインと押し上げることにつながります。
同じような境遇の方により多くお伝えするためシェア いただけると嬉しいです!