中小企業診断士│2次試験の経営課題特定の練習|事例4H15与件

中小企業診断士の二次試験事例4H15与件

経営課題の特定がなぜ必要か

中小企業診断士とは何者か(詳細はこちらをクリック)でお話しした通り、どんな知識やツールよりも中小企業診断士の二次試験において(および実務においても)相談企業のあるべき姿とそれを解決し成長していくためのストーリーが求められます。二次試験でも上記にもとづいて設問や与件の設定がなされています。

しかし、経営課題特定するための練習をいきなり中小企業診断士の二次試験の事例1~3で行うことはハードルが高いです。まずは、与件文が短く、出題者のストーリーを理解しやすい事例4で感覚を養うことをお勧めします。

中小企業診断士の二次試験過去問の平成15年度事例4

中小企業診断士の二次試験過去問の平成15年度事例4を使って、今回はご説明しています。

与件文

D社は、主に電機メーカーX社Y工場から受注する特殊用途の配電盤や制御機器などの筐体(外箱)を製造している大都市近郊の板金加工メーカーである。加工方法は、NCタブレットパンチプレス機を使用して材料である鉄板から製品形状を切り出した後に、鉄板の折り曲げ、溶接によって完成させるものである。先代の社長が創業以来、このX社Y工場から受注し、すでに40年の取引関係になる。35年前に取得した土地に本社・工場を建設して(敷地2,300平方メートル、建坪800平方メートル)操業を続け、バブル崩壊までは順調に業績を伸ばしてきた。堅実経営を理念としてきたので本業以外の事業などに投資することもなく、現在、不良資産を抱えておらず利益の内部留保も大きい。

近年、X社Y工場の量産製品の工程が次々と海外移転し、その結果、量産製品用の筐体製造を受注していた他の板金加工メーカーは海外移転、あるいは廃業していった。しかし、D社製造の筐体が用いられるX社の製品は特殊用途の小ロット製品ということから、国内での生産が継続されており、今後もY社工場での生産が引き続き行われる見込みである。D社は小ロットに短納期で対応できる技術力を背景に今日まで生き残ってきたしかし、長引く不況の中で、X社Y工場から同一製品を再受注するたびに価格が引き下げられたり受注量が減らされており、ここ5年間減収減益が続き、平成14年度には営業利益が赤字になってしまった。

3年前に、創業者である先代社長が引退して40歳の子息が社長となって経営を行っており、役員2名の他、常勤の従業員16名が業務に従事している。最近は新規採用もせず定年退職者も出ていないため、従業員の高齢化が進んでおり、平均年齢は48歳である。社長にとっては従業員が先代社長の頃からの生え抜きであり、これまで新しい人事政策は講じてこなかった

NCタブレットパンチプレス機をはじめとする機械装置はどれも10年以上前に購入したもので、この設備で技術的に一層高度な製品を受注することは厳しい状況にある。

原価については、X社Y工場との価格交渉用に直接材料費と加工費にまとめた原価見積テーブルを用意しているが、受注した製品ごとの実際原価の算定は行われていないので、それぞれの採算性が明確になっていない。また、減価償却については、現在では建物のみが対象となっている状況である。

D社では減収減益傾向、さらには営業利益が赤字となった状況に歯止めをかけるべく、土地の遊休部分を一部売却して新設備を導入することも視野に入れた経営改善計画を策定・実施するために、特に財務的な観点から中小企業診断士に診断・助言を依頼してきた。

引用:中小企業診断士第2次試験平成15年度事例4

与件文の構造化

まず、段落間の関係をみていきましょう。

各項目をクリックすると該当与件文の段落に移動します。

  • 1段落過去の変遷
  • 特に、問題はないと思いますが、時制は過去のことが描かれていますね。また、会社の概要が記されていることもわかります。それ以上の内容はここからは読み取れません。

  • 2段落現在の会社の状況
  • 過去~現在の経営課題がでてきました。それは、「D社は小ロットに短納期で対応できる技術力を背景に今日まで生き残ってきた」という部分です。これをもっていたから、会社の業績が良かったといえることから、過去~現在の経営課題と特定できます。

    経営課題の見方を忘れたかたは、「中小企業診断士の二次試験に必要な読む力与件編1をクリック

    さらに、その次の文章にも大切なことが記載されています。着目すべきは、逆説の「しかし」です(詳細は中小企業診断士の二次試験に必要な国語力とはをクリック)。

    これによって、新たな経営課題が発生したと考えられます。具体的には、「価格が引き下げられたり受注量が減らされており、ここ5年間減収減益が続き、平成14年度には営業利益が赤字になってしまった」です。

    つまり、新たな経営課題としては、(1)減収減益を改善すること、(2)営業利益を改善すること、だとわかります。なぜ、わざわざ(1)と(2)で分けているのか、それは設問文を見るとわかります。後ほどご説明します。

    この一文が最重要だと感づけるかどうかがトレーニングのポイントになります。

  • 3段落現在の人事政策
  • これは文字通り、人事政策を全く行ってこなかったという話が展開されています。

    先ほどの経営課題を考えると、販売管理費の削減をしたいのかなと感じます。(2)営業利益を改善するに直結しそうな内容です。

  • 4段落現在の設備
  • 現状の設備では、一層高度な製品の受注が難しいと書いてあります。これは、(1)減収減益の改善につなげるためと考えられますね。

  • 5段落現在の原価管理
  • 原価管理にはまだ余地があると書いてあります。こちらは、(2)営業利益の改善につながりそうですね。

  • 6段落現在の経営課題と実行状況
  • 2段落で特定した経営課題である「減収減益」と「営業利益」に歯止めるとはっきり書かれているため、経営課題と完璧に特定できますね。

ポイント

与件文でここまで考えられれば、OKです。そんなに難しい内容ではなかったのではないでしょうか。2段落目の文章を見て、経営課題だと判断できたかが重要となります。

続きは長くなりましたので、診断士2次試験の経営課題特定の練習|事例4H15年設問編(詳細はこちらをクリック)をご覧ください。

中小企業診断士の二次試験事例4H15与件

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