中小企業診断士│二次試験過去問事例3H24|与件を丸裸解説

診断士二次試験過去問事例3H24|与件を丸裸解説

企業概要

第1段落

C社は地方都市に本社および生産拠点をおき、食肉製品を生産、販売している。創業は1990年、同地域に店舗を展開していた食品スーパーX社が加工部門を分離し、その加工部門の責任者であった現社長が経営を任された。C社社長はX社の加工部門を引き継いだ後、加工工程の見直し、加工技術の向上などを行い生産性の改善を進めた。そして、X社以外の食品スーパーへの販売数量を増加させ、また販売品目を絞って少品種多量生産体制をつくり、さらに生産性の向上を達成するなど経営改善を進めてきた。その後、外食チェーンからの受注にも成功している。

気づくべきポイント

現社長になってから成長した要因が記載されています。

まず生産性の改善を進めてきたことが挙げられます。

切り口としては生産面で、加工工程の見直し、加工技術の向上、少品種多量生産体制ですね。

次に、X社以外の食品スーパーへの販売数量を増加および外食チェーンからの受注に成功です。

後は、第1問でまとめればOKです。確実に第1問はとらなければならない問題と言えそうです。

第2段落

現在ではX社を含めた食品スーパー4社計80店舗、外食チェーン6社計30店舗と取引を行い、生産数量の60%は食品スーパー、40%は外食チェーン向けである。近年、食品スーパー向けの製品の販売数量はほぼ横ばいで推移しており、外食チェーン向け製品も外食産業の業績が思わしくないことから減少傾向にある。

気づくべきポイント

食品スーパーは販売数量が横ばい、外食チェーンは減少傾向となっています。

余談ですが、外食チェーンの減少傾向への対応として、第4問からY社との取引強化を新規事業として図ろうとしています。

であれば、生産面は第2問などで改善が図られそうですが、営業面で食品スーパーのテコ入れはどのようにしていくべきでしょうか。第3問のY社以外の取引とは食品スーパーのことを聞いているのだと筆者は感じました。

第3段落

現在の資本金は4,000万円、従業員はパート60名を含む100名である。会社組織としては製品企画部、営業部、製造部、品質保証部、総務部がある。営業部員がつかんんだ顧客のニーズを製品企画部で新製品として企画し、製造部で生産、品質保証部で製品検査をそれぞれ担当している。

気づくべきポイント

営業部員がつかんだ顧客のニーズを製品企画部で申請費として企画し、という部分は使えそうなワードの匂いがプンプンします。

先ほどの食品スーパーテコ入れの際に使えそうだと気付ければ、第4問で使えそうですね。

生産概要

第4段落

C社の主力製品は、牛肉および豚肉をスライスしたステーキ用、すき焼用、しゃぶしゃぶ用、焼き肉用などの加工製品である。主原料は食肉商社から輸入牛肉および国産豚肉の部分肉(ロース、サーロインなどの部位別にカットされたブロック肉)を冷凍の状態で購入し使用している。各製品は顧客の要望に応じて、主として発泡スチロールのトレーに盛り付け、透明フィルムで包装して出荷される。各製品の品質保持期限は、マイナス18℃以下の冷凍保管の条件下で365日としている。製品は約50品目あり、販売数量上位30位までの各製品の月平均販売数量は図1に示すとおりである。食品スーパー向け製品の販売は少品種多量で、外食チェーン向けは多品種少量である。

気づくべきポイント

食品スーパーは少品種多量、外食チェーンは多品種少量と、混合生産体制がとられていることが分かります。そのため、生産体制に不都合が生じていないかと考えることはできそうです。

また、食品スーパーに対してのテコ入れが実現できれば、まだまだ販売数量を伸ばすことは可能だと判断できます。

第5段落

製品の生産工程は、購入した部分肉の受入検査、一次加工(整形)、スライス、トレー盛り付け、包装、製品検査である。納品は、各顧客からの注文によって週2回それぞれの顧客の配送センターへ配送することが原則となっている。生産計画は毎月20日までに翌月の計画が作成されるが、その時点では顧客からの注文内容は確定しておらず、各営業担当が各顧客の販売数量を予測し、製造部では製品在庫との調整を図って見込み生産を行っている。製造原価構成では原材料費と人件費の割合が大きい。コスト削減対策の1つとして、スライス工程では汎用機を使用すると熟練工を必要とすることから、高い加工技術を必要としない専用機化を進めて人件費の抑制などを行ってきたが、既存の顧客からは一層の製品単価引き下げ要請がある。

気づくべきポイント

生産計画は毎月20日に翌月の生産計画はたてているのにもかかわらず、顧客からの注文は確定していないので、生産数量に正確性がかけていると言えそうです。各営業担当の販売数量を予測で、なおかつ見込み生産ですので、見込みがあまいと欠品やデッドストックとなります。このあたりが、第2問の直面している課題であるかもしれないと想定できます。

コスト削減については、原材料費と人件費で考えろとなっています。原材料費については情報がありません。一方で、人件費については設備導入によって努力していることがうかがえます。ただし、製品単価の引き下げ要請は続いているため、さらなるコスト削減努力が必要です。考えられる方向性は、原材料費の低下、もしくは人件費のさらなる抑制、あるいは両方です。どれにあたるかは、そのほかの与件の情報から考えます。

第6段落

牛肉および豚肉は同じ設備で加工されている。そのため肉腫の変更時および部位の変更時などの製品品種切り替え時には、衛生管理を徹底するため各設備機器の洗浄、消毒を行うことになっており、その作業には約1時間を要する。また毎日の作業終了時には作業スペースの清掃のほか、各設備機器は分解して洗浄、消毒することから、2時間程度の時間を必要とする。この清掃、洗浄、消毒の作業は、作業者によってその方法が異なり、所要時間もそれによって変動する。製品品種切り替え時の洗浄などの時間が長いため、ロットサイズは生産性と段取り時間を考慮して製造部で決めている。最も販売数量が多い食品スーパー向け製品S1と、多品種少量の典型的な外食チェーン向けD2の生産累計数と出荷累計数の直近1ヶ月の推移は、図2およびず3にそれぞれ示すとおりである。現状は全製品ほぼ同じロットサイズを採用しており、製品によって在庫水準は異なり、欠品によって受注に対応できない場合も生じている。

気づくべきポイント

清掃に多大な時間がかかっており、しかも作業者によって方法が違うため、所要時間が変動しているとなっています。とてもまずい状況です。この要因がロットサイズに大きく影響している点は問題です。販売数量が製品によって違うのに、ロットサイズはほぼ同じであることは驚きです。結果として、在庫水準が適正でなく欠品が生じていますね。ここは、既に顕在化している課題と言えますので、第2問で使えそうです。在庫水準が適正でない理由は、生産計画が甘いこと、ロットサイズが全て一緒であることとなります。第5と6段落は並列の関係と言えます。また、作業時時間を短縮できれば、人件費も浮かすことができそうです。

第7段落

また食品業界で強く要求されているトレーサビリティについては、主原料で使用する輸入牛肉、国産豚肉の両方とも購入時に付帯してくるロット番号で識別管理している。現在使用している牛肉は、すべて輸入牛であり、そのため個体管理は行っていない。

気づくべきポイント

本文章はどこと関連しているのかがわかりずらいです。先にネタバレになってしまいますが、第3問でトレーサビリティの個体管理は第8段落にも記載されているので解答に利用していきます。しかし、第8段落と本段落は関連性が薄く、浮いた文章となります。そこで、少し考察していくと、第8段落はY社のことであるので、つまりは外食チェーン向けと言えそうです。

ということは、第2段落でお話しした通り、スーパー向けのテコ入れに使えないかと考えると、トレーサビリティを活用できればニーズに対応可能となるため、販売数量は伸ばすことができそうです。つまり、第4問での活用を示唆していると思われます。おそらく、中小企業診断士の二次本試験の緊張状態で、この意図に気づくことはなかなか難しいかもしれませんが、出題者の意図や思考回路を把握しておくことはとても重要です。

このようにどこの設問に関連しそうなのかわからない場合は、一旦置いておいて、各設問に他の与件を割り振っていった後に、どこの設問で最終的に使うべきかを考えていけばよいです。対応としては、後回しでOKです。

新規事業

第8段落

現在C社には、これまで取引がなかった外食チェーンY社から新規の商談が持ち込まれている。このY社はC社と同地域に立地し、国産牛のステーキ、すき焼き、しゃぶしゃぶ、シチューなどを主なメニューとして、良質な食材、店舗ごとの多彩なメニュー衛生管理の徹底を掲げて従来のファミリーレストランと差別化を図り、近年急速に多店舗展開している。現在Y社では、材料を本社で手配して各店舗に仕入れ先から納品させ、加工、調理は各店舗で行っているが、店舗数が増加するなかで加工、調理方法が異なり品質とコストのばらつきに悩んでいた。そこでY社では各店舗の独自性を重視する経営の方針を変更し、集中仕入、集中加工となるセントラルキッチン化の検討を行い、その委託先としてC社を候補としたものである。

気づくべきポイント

Y社の経営課題は加工、調理方法が異なっているので、品質とコストがばらついていることですね。これを解決するためにC社を頼ってきているので、解答の最終効果として品質の向上とコストの削減は必ずあげる必要があります。

第9段落

打ち合わせの過程でY社からは、全店で必要とする主力メニューの牛肉のスライス、味付け、野菜のカットなどについて盛り付けまでの事前加工を行うことを要求されている。加えて製品のトレーサビリティは国産牛を使用することから個体管理すること、前日発注・翌日全店直接配送を行うことなど、C社でセントラルキッチンとしての機能を持つよう要求されている。C社では、Y社の要求内容に対応可能かどうか検討中である。

気づくべきポイント

ここは、第3問で使用する内容がばっちり記載されていますね。切り口としては、与件にでている観点である、加工・トレーサビリティ・配送で問題ないと思います。

与件を読んだ時のマーク付けなどの実際の写真は、できしだいアップします。マッピングも同様です。いましばらくお待ちください。

私のムダな経験が中小企業診断士の二次試験を独学合格目指す皆様に、少しでもお役にたてていれば幸いです。

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